Pjusk & Chra Interview
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- -あなたの非常にユニークな音楽の作曲のプロセスについてお話出来ることはありますか?例えばきっかけとなるアイディアはどこから生まれますか?
- 大抵アイディアは苦しい作業の中から生まれてくるものです。もちろん、私達が住んでいる場所や新しい音楽、新しい機材など多くのものからインスピレーションを得ます。でも大抵の場合、二人で演奏を始めることできっかけとなるアイディアを得ることが多いです。まずは新しいアイディアの種を与えてくれそうないくつかのレコーディングサンプルをお気に入りの機材やエフェクト類で加工し始めます。そうして最初のアイディアの種が生まれた瞬間から苦しい作業が始まるのです。それはアイディアが生まれ始めているという段階だと言えます。
- 作曲に関しては我々独自のやり方があって、ノルウェーの異なる場所で暮らしながら作業を進めます。アイディアの種が生まれた後、それぞれの素材を加えたり、取り除いたりと編集を繰り返しながらお互いに送り合うことでプロジェクトを進行させてゆきます。例えば、トラックの雰囲気に合う必要と思われる音のレイヤーを加えたり。そういう過程を経て初めて独創的なアイディアと出会うことになります。最終的にはそこから剥ぎ取ったり、切り抜いたりしながら彫刻のように私達の目指す音楽を形作ってゆくのです。
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- -そういったアイディアを元にあなたが制作のために使用するソフトウェアやハードウェアはどんなものですか?また、二人の共同作業はどのように進められるのですか?
- 私達はFTPサーバを用いてSpliceと呼ばれる新しいオンラインサービスを用いて作業します。デジタル上でテニスをしていると思っていただければ解り易いでしょう。ソフトウェアに関してはAbleton Liveによって私達の全ての音楽は作られています。我々は音の味付けと変化をもたらすためにちょうどReasonを購入したところですが、長年に渡ってAbletonのファンなので完全に切り替えるのはなかなか難しいです。それからUADとValhallaのプラグインはとても気に入っています。
- 我々はよく沢山のフィールド・レコーディング素材を使用します。それらを用いてRuneがベーシックな土台となる部分を作って、私がよりよいと思える方向へアレンジしてゆきます。私はいくつかの古いビンテージ・シンセを持っていますが、それらを使うことはあまりありません。我々はもっと原初的なやり方で音を作ります。例えば様々な物を叩いてみたり、カスタムメイドのツィターのような珍しいアコースティック楽器を引っ掻いてみたり、そのような実在する音をレコーディングしています。
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- -あなた達の音楽から寒さや静けさといった北欧らしいフィーリングをいつも感じます。ノルウェーという国の文化からどんな影響を受けていると思いますか?
- 私達はノルウェーの自然から多くのインスピレーションを得ます。ノルウェーの国としての歴史は日本に比べてまだまだ浅いです。ノルウェーは人口約450万人の小さな国なんです。多くのノルウェー人は現代的な都市部に住んでいません。だから我々の生活には海や山、天候がとても密接に関わっています。
- -普段はどんな音楽をよく聴きますか?最近のあなたのお気に入りの音楽を教えてくれませんか?
- 私達はメタルやクラシック、ジャズやポップス、エレクトロニカなど異なるジャンルの様々な音楽を聴いています。それぞれのジャンルに興味深いポイントがあるからです。様々なジャンルのなかで最も私達の心に響いたのは電子音楽でした。それは私達にとって音楽のもっとも重要な要素の一つである感情的な引き金を持っていました。多分一番つまらない音楽というのは凡庸であるものだと思います。
- お気に入りのアーティストについては、私達が若者だった80年代後半から90年代にかけての素晴らしいオールディーズです。例えばThe Future Sound of LondonやBiosphere、Aphex Twin、Global Communication、Autechre、Seefeelなど沢山あります。もちろん私たちはいつも刺激的な新しい音楽を探しています。近年ではKiasmosやLoscil、Taylor Deupree、Porya Hatami、Minilogue、Shuttle358、Otto Totlandなど。
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- -ノルウェーのエレクトリック・ミュージックシーンについてはどんなふうに感じていますか?
- 現在のノルウェーのエレクトリック・ミュージックシーンはとても良い状況だと思っています。とても商業的なアーティストから無名の新人アーティスト、ポップ志向のエレクトロニカからより実験的なプロジェクトまでエレクトロニカのサブジャンルに多くの良いアーティストがいます。
- -今後のあなたの計画について教えてください。
- 現在、私たちはよりアグレッシブなビート・ミュージックを制作しています。
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- -あなたの非常にユニークな音楽の作曲のプロセスについてお話出来ることはありますか?例えばきっかけとなるアイディアはどこから生まれますか?
- 私はとても好奇心旺盛なタイプでいつもどこかへ出掛けると落ち着きなく辺りをキョロキョロと観てしまうの。風景や物なの何か面白いものはないかなって。それからニュースや映画、本を読んでそれについて話し合うのがとても好き。そういう身の回りで起こる出来事にインスパイアされることが多いわ。例えば、週末は森の近くの田舎町の家で過ごすようにしているんだけど、そこで鳥やシカ、キツネなどの野生動物を発見するといつも座り込んで見入ってしまう。もちろん計画的に作曲することもあって、ウィークリー・ビート・プロジェクトって呼んでいるんだけど、それは52個の音とコンセプトを用意して毎週新しいビートを作るというものなの。いままで使ったことのないソフトウェアや特殊な楽器について学びながら、新しいやり方と音を探し始めるところからスタートすることもあるわ。
- -そういったアイディアを元にあなたが制作のために使用するソフトウェアやハードウェアはどんなものですか?
- メインはAbleton Live, MaxMSP, Logic, Reason。ソフトウェア・シンセサイザーのMassive, Gaugearといくつかのプラグイン。レコーダーはZoom RecorderとIphoneを使うこともある。ハードウェアは主にMicrokorg, Novation BassStation, Waldorf RocketやRolandのGroovebox。それからベースギターとエフェクトペダル。
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- -オーストリアのアートやカルチャーからどんな影響を受けているとおもいますか?
- ありきたりだけれど私が子供の頃はモーツァルト、シューベルト、ベートーベン、リストなどのオーストリアの有名なクラシック音楽とドイツ語のポップミュージックや民謡と共に育ったの。10代の頃はパンクと地元のパンクバンドに夢中だった。文学ではトーマス・バーナード、エルフリーデ・イェリネクとペーター・ハントケにとても入れ込んでいたわ。80年代後半のインダストリアル・メタルとテクノとの出会いが私にとってとても重要なものになったの。それから90年代前半には実験的な音楽、レーベルのMEGO周辺とPhonotaktikというフェスティバルからとても影響を受けた。それと私は美術館へとても古い絵を観に行くのがとても好き。イタリアの画家でオーストリアではないけれど、一番のお気に入りはカラヴァッジオ。それからグスタフ・クリムトやエゴン・シーレなどのユーゲント・シュティールも大好きでこういうコンテンポラリー・アートも私に影響を与えていると思う。
- -あなたが運営するレーベルの『comfortzone』について教えてください。どのようにスタートしたのでしょう?
- ちょうど私の最初のアルバムが完成した頃で私は出来るだけ既存のレーベルや他人に頼らずに自分の力でそれを発表したいと思っていたの。当時は女だから出来ないなんて思われたくなかったのよ。まずはじめにレーベルの仕事はキュレーション以上であると理解しなければならなかったわ。例えば作品を販売することで利益もたらして財源を確保し、それをもとに次のタイトルをリリースするということ。レーベルを始めたころはそういうことについてよく頭を悩ませていたわ。
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- -オーストリアは実験的で非常に刺激的な音楽が盛んなように感じられます。オーストリアのエレクトリック・ミュージックシーンについてはどんなふうに感じていますか?
- 世界的に最も刺激的で重要なレーベルの一つであるEditions Megoと主宰者のピーター・レーバーグとはいい信頼関係が築けている。ウィーンには私がとても好きなアーティストであり友人でもあるFenneszもいるわ。テクノやハウス、ドラムンベースなどのジャンルについてはあまり興味がないの でよくわからないわ。どこでもそうだと思うけど、ジャンルによってシーンが分かれているの。
- -今後のあなたの計画について教えてください。
- 現在、私はいくつかのプロジェクトのために働いていて、新しいEPとリミックスのために作曲しています。それらをタスカムのテープレコーダーでレコーディングしたり、それからウィーンで活動している写真家の展覧会のためのサウンドトラックも制作中なの。
- -初来日ということでライブパフォーマンスはもちろんですが、日本でどんなことを楽しみにしていますか?
- 日本へ行くのは今回が初めてだから色んな場所へ行ってみたいし、日本のお友達とお話したり、沢山のレコードショップへ行くのをとても楽しみにしているの。それから食事もとても楽しみね。食べるのは大好きだし。言ったでしょ、私は好奇心旺盛なの。とにかく今回のツアーが今後の私の作品に大きな影響を与えるのは確実ね!